MD-PhDコース Q&A

そもそもMDとPhDとは?

MDはMedical Doctorの略称、PhDはDoctor of Philosophyの略称です。日本においてMDとは医学部卒業の学位を意味しており、簡単に言うと医師であればすべての人がMDに相当します。PhDとは大学院の博士課程を修了した者に与えられる学位のことで、博士号のことを意味します。

通常の医学部医学科のカリキュラムにおいては、高校卒業後に大学の医学部に進学し、6年の教育を受けて国家試験を受験します。合格後は医師として初期研修を2年間行い、早ければその後に大学院に進学できます。 よって大学院で研究を始めるに当たり、最速でも26歳からのスタートとなります。

大学院博士課程は4年と定められていますが、成績によっては3年での早期修了も可能です。いずれにしても、医学部を卒業してから大学院に進学する従来の方法の場合においては研究のスタートの遅さが問題となっています。

また、医学部を卒業しても、臨床医学(内科学、外科学など)の研究をする人は多くいますが、基礎医学(生化学、生理学など)やその両方(病理学など)、また社会医学(公衆衛生学や疫学など)に携わろうとする人が不足しているのが現状です。 その原因の一つとして、早期から研究に取り組めないことが挙げられています。 さらに、研究を志す学生を初期から確保できないことがその根本ともされています。

そこで登場したのがMD-PhDコースです。


広島大学MD-PhDコースとは?

通常の医学部の課程は6年、博士課程(医学)の年限は4年となっています。しかし、MD-PhDコースに入学した学生は、4年生までは通常の学士課程教育を受け、入学5年目に大学院に進学、3年から4年間、大学院博士課程で研究に専念し博士号を取得します。その後、学士課程の5年生に復学し、2年間臨床実習を受けた後に国家試験に臨みます。基礎医学、社会医学の研究医を養成することを目的としたコースです(Link参照)。

このコースに進学すると、通常のカリキュラムの場合と比較して4年以上も早く研究をスタートさせることができます。研究医を目指す学生にとっては画期的なコースです。


MD-PhDコースへ進む方法は?

広島大学医学部医学科の光り輝き入試(AO入試)に合格する、一般入試で医学部医学科に入学し4年生の時点でMD-PhDコースへの編入を申請する、の2つの方法があります。光り輝き入試(AO入試)で入学した学生は必ずMD-PhDコースに進むことになります。

AO入試の出願には各種科学オリンピック出場、または学術的な大会や学会発表での受賞などが必要となります。(Link参照)


このコースには経済的支援はあるのですか?

大学院在学中にはティーチング・アシスタント(TA)、リサーチ・アシスタント(RA)*に積極的に任用して、学費相当分の給与収入が得られます。その他、同窓会(広仁会)からの入学金の補助や通常の学生に適用される日本学生支援機構の奨学金や授業料の免除も受けることも可能です。

*ティーチング・アシスタント(TA)、リサーチ・アシスタント(RA)とは、大学の授業や研究の補助をする非常勤職員のことで、国際的に教育歴として評価されるものです。


配属研究室を決めるのはいつですか?

4年生の4月から正規のカリキュラムの研究室実習が始まるので、3年の後期には決めておく必要があります。低学年のときから興味のある研究室に足を運び、自分の興味のある研究ができる場所を見つけましょう。


卒業後はどのような道を歩むのですか?

卒業後の進路は様々な選択肢があります。通常、医師としての基本的素養を身につけるため臨床研修を積むことになります。研修後は、大学院で身に付けたキャリアを生かして基礎医学の研究者や研究マインドを持った臨床医になることが出来ます。また、病理学の研究を積んだ人であれば病理医*、法医学の研究を積んだ人であれば監察医**・法医学者になることもあるでしょう。さらに、社会医学の研究を積んだ人であれば、その分野の研究者や医系技官***に進む道もあります。大学院で学ぶことで、より専門的な自らの将来像を描くことが出来るようになると思います。

*病理医:手術や内視鏡検査の際に切除された検体の組織や細胞から病気の状態を診断する「組織・細胞診断」を主な仕事とする医師であり、亡くなられた患者さんの死因、治療効果などを検証するための「病理解剖」も担当します。
**監察医:死体解剖保存法を基に、厚生労働省令で指定された都府県知事が任命する死因の明らかでない非犯罪死体を検案・解剖を行うことでその死因を明らかにする医師。そのほとんどは東京都監察医務院で勤務している。
***医系技官:厚生労働省に入職し、専門知識をもって保健医療に関わる制度づくりの中心となって活躍する技術系行政官


現在の在籍人数は?

学部(B)6年(医学博士):4人、B5(医学博士):2人、大学院(D)3年:5人、D2:6人、D1:2人、B4:2人、B3:1人、B2:5人、B1:3人の合計30人が在籍しています。(2023年6月現在)

男女比は、男性22:女性8です。


基礎棟付近によくいる猫


かわいいですね。